横浜の歯科・歯医者 横浜山手デンタルクリニック「神経をとる」と簡単にいいますが…
他院での応急的な神経治療で、残念な事に根の先まで神経が腐ってしまい、根の先の骨にまで入り込んでしまっている患者さんがいらっしゃいます。神経は、1本の糸を引き出すようにスーッと取れるわけではありません。「神経をとる」という事は至難の業であることが下の複雑な神経の図でお分かりですね。
神経の表面を一部だけ殺すような中途半端な治療の結果、患者さんは一時的に痛みは感じなくなりますが、その部分が将来全ての神経を腐らせて、根の先の骨の中に病気を作ってしまいます。
図のような歯の中の神経は、漁師の地引網の網目のようですね。正確に神経を取ったり神経に変わる薬を詰めるのは、誰が見ても難しいと思いませんか?だったら、しみる位やちょっとした痛みでいたずらに神経を取らないことが大切ですね。
ひどくならないように、虫歯の段階できちんとした治療をする事が大切です。
ポイント
いたずらに神経を取らずに、表面に神経再生の材料を付けて、歯の中にいるバイ菌を取り除いて極力神経を守ります。神経に手をつけなくても痛みを取ることができるのです。
横浜の歯科・歯医者 横浜山手デンタルクリニック歯根管の処置の3つのステップ
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1神経や膿の確認
死んでしまった神経や汚染された象牙質、根の先に溜まった膿(うみ)を確認します。
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2神経や膿の除去
リーマーやファイルという細い器具を使って、汚染された神経を除去したり、根の先に溜まった膿(うみ)や感染された象牙質を顕微鏡を見ながらきれいに取り除きます。この根管治療の成功には、機械的な根管の拡大を徹底し、根管の中の病原菌を徹底的に除去しなければなりません。その根管拡大を正確にする為には顕微鏡とCT画像が大切になるのです。
更に顕微鏡を使った根管の洗浄は大切です。洗浄剤は17%のEDTAと2.5%のNaClOの交互洗浄の原則です。EDTAは根管スメア層内の無機質にまつわった汚れを取ります。NaClO はスメア層内の有機質にまつわった汚れを取ります。この2つを使ってじゃぶじゃぶ洗濯をする感じです。
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3根管消毒と根管充填剤を詰める
次に根管消毒においては、根管の機械的な拡大や化学的洗浄のあとに、入れる薬が大切となります。根管治療を終えるまで持続的な殺菌能力や鎮静作用を求めて消毒薬を使います。日本ではパラホルムアルデヒド製剤が多く使われています。これは細胞毒性が強すぎる点、作用時間が短い点、特に重大なのは発がん性も見られるといったデメリットが多すぎます。
横浜山手デンタルクリニックで使う消毒薬は水酸化カルシウムです。この薬はpH12.4のアルカリ性で優れた抗菌性を持ち、人体に安全な薬です。この消毒法を世界で最初に推奨したのはペンシルバニア大学の教授のLeit Tronstad先生です。
Leit Tronstad教授の論文
論文の英文
pH changes in dental tissues after root canal filling with calcium hydroxide.
Tronstad L, Andreasen JO, Hasselgren G, Kristerson L, Riis I.
J Endod. 1981 Jan;7(1):17-21. No abstract available.
Abstract
The pH changes in dental tissues of monkeys were studied by means of pH indicators after endodontic treatment with calcium hydroxide. Untreated teeth with pulpal necrosis showed a pH of 6.0 to 7.4 in pulp, dentin, cementum, and periodontal ligament. Replanted and nonreplanted teeth with completed root formation and treated with calcium hydroxide showed pH values in the circum pulpal dentin of 8.0 to 11.1, and in the more peripheral dentin of 7.4 to 9.6. In teeth with incomplete root formation, the entire dentin showed a pH of 8 to 10. The pH of the cementum was not influenced by the calcium hydroxide. However, in resorption areas, an alkaline pH was also observed at the exposed dentinal surfaces.
論文の和訳
水酸化カルシウムで根管充填後の歯の組織のpH変化
水酸化カルシウムによる歯内治療後のサルの歯牙組織におけるpH変化をpH指示薬によって調べた。 歯髄壊死を伴う未処置の歯は、歯髄、象牙質、セメント質、および歯周靭帯において6.0〜7.4のpHを示した。 歯根形成が完了し、水酸化カルシウムで処理された、移植された歯および移植されていない歯は、根管象牙質において8.0~11.1の、そしてより歯髄周辺の象牙質において7.4~9.6のpH値を示した。 歯根形成が不完全な歯では、象牙質全体が8〜10のpHを示した。セメント質のpHは水酸化カルシウムの影響を受けなかった。 しかしながら、吸収領域では、露出した象牙質表面にもアルカリ性pHが観察された。
発がん性のあるパラホルムアルデヒド製剤に比べて直接根管に触れないと良好な結果が出ません。そのためよりしっかりと根管に水酸化カルシウム薬を詰めないと効果が上がりません。
ポイント
横浜山手デンタルクリニックにはマイクロスコープやCTがあるので確実に薬を過不足なく根管に満たすことができます。
歯科医療にとって重要な理念とは、使用する人間の知識と患と心が患者さんと共有ができて、患者さんに治療に参加していただき、患者さんへの安心と安全を提供し、その知識を生かす環境(器具も含めて)があって初めて確立します。結果がおのずと異なって表れてくる事で治療の質が証明されると信じます。