横浜の歯医者・歯科 横浜山手デンタルクリニックインプラントを入れた後、こんな症状でお困りではありませんか?


実はそれは「インプラント周囲炎」かもしれません。放っておくとインプラント周囲の歯肉や骨と全身の健康に大きな影響を与える可能性がありますので、早めの対策が必要です。
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎(インプラントしゅういえん)とは、インプラントを支える歯ぐきや骨が炎症を起こす病気です。これはインプラントを入れた直後からと数年後に発生することがあります。インプラントは天然の歯を失った場所に人工の歯根を埋め込む治療法ですが、時間が経つとインプラントの周りに細菌が溜まり炎症を引き起こすことがあります。今や世界のインプラントを入れた患者さんの4人に1人は周囲の炎症が始まっています。(参考文献1、2)
インプラントを入れた後に歯ぐきの腫れや痛みがある時、その原因がわからないことが多く、多くの人はこの病気について知りません。
インプラントを入れた世界の患者様のこのインプラント周囲炎を今や不治の病のように言うドクターもおられますが、手術用顕微鏡による顕微鏡歯周組織手術のおかげで、インプラントのまわりの除菌をして歯肉と骨を移植し、歯肉の再生を可能にしてインプラントの寿命を延ばすことができるようになりました。(参考文献5)
参考文献
- Lang Oral Impl.Res.2006 16 440-446
- Samento J.Perio Rest Dent.2016:36(5)699-705
- schwarz clinical Oral Imp Res 15.161
- Renvert・Paris Quintessens 2012,157
- Okayasu Implant Dent 2011:20:250~261 (Descision Treeによる診断と処置)
※Dr.Schwarz Revertは骨壁が4方面に囲まれていれば再生がうまくいきますと論文発表しております。(参考文献3)
インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎の主な症状には段階を追って次のようなものがあります。
- 歯ぐきの腫れ
インプラントの周りの歯ぐきが赤く腫れることがあります。この腫れは炎症によって引き起こされます。 - 痛み
インプラントの周りに痛みや違和感を感じることがあります。痛みは軽度から重度まで様々です。 - 出血
歯ぐきを軽く触ったり、ブラッシングしたりするだけで出血することがあります。これは、炎症によって歯ぐきが弱くなっているためです。 - 膿の排出
インプラントの周りに米のとぎ汁のような白っぽい膿が溜まることがあります。これは感染のサインです。膿が出ると、口の中に不快な味や臭いが感じられることがあります。 - インプラントのぐらつき
インプラントがしっかり固定されずにぐらついてきます。これは、周囲の骨がいくつかの段階を経て失われているためです。
<インプラント周囲炎の患者様の写真>

① 歯ぐきが腫れている
歯ぐきがただれてグチャグチャになっています。カリフラワーのような小さなボコボコがたくさん出ています。
② すき間が見えてしまっている
骨が解けてしまい、歯ぐきが下に下がりすき間が出来てしまっています。
インプラント周囲炎のリスク
インプラント周囲炎を放置すると、次のようなリスクがあります
- 骨の喪失
炎症が進行すると、インプラントを支える骨が徐々に溶けて失われます。 - インプラントの脱落
骨が失われると、インプラントがしっかりと固定されなくなり、最終的にはインプラントごと上部のかぶせ物が脱落する可能性があります。
インプラント周囲炎の予防
インプラント周囲炎を予防するためには、日々のセルフケアとプロケアを中心とする口腔ケアが非常に重要です。次のポイントに注意してください
- 毎日のブラッシングとデンタルフロス
インプラント周りを含むすべての歯を丁寧にブラッシングし、フロスを使って歯間やインプラントの周囲の清潔を保ちましょう。
インプラント専門医によって工夫されたブラッシングやフロッシングを身に付けてください。 - 定期的な歯科検診
少なくとも半年に一度はインプラント専門医の検診を受け、インプラントの状態をチェックしてもらいましょう。 - プロフェッショナルクリーニングを超えたデブライドメント
歯科医院での定期的なクリーニングと、必要であれば病原菌の除菌や無菌化のプログラムを受けて、歯周ポケットに溜まったバイオフィルムを除去できます。 - プロチェックによる適正なかみ合わせを常に確保する
通常の食事の際の咬み合わせの力は30kg~50kgといわれていますが、就寝時の咬み合わせの食いしばりや歯ぎしりは300kg以上あり、インプラントの歯とお相手の歯は、互いに深いダメージを受けます。それらの力のコントロールがインプラント周囲炎の予防につながります。
横浜の歯医者・歯科 横浜山手デンタルクリニックでは将来インプラント周囲炎にならない、インプラントの長持ちを目指します
・インプラント周囲の骨が半分無いデコンタミ処理
・インプラントの周囲の骨がほとんど失われているデコンタミ処理

- インプラント埋入手術前の患者様(75才位までの患者様ならば結果は良好です)には
- 欠損部に大きなへこみのある方は術前に歯肉を移植致します。
- 仮歯の段階で歯肉の増殖と共に骨を移植します。
- 仮歯のコンタクトを長くするだけでもわずかに有効です。
- インプラント埋入手術時に同時に骨を移植します
- インプラント埋入手術後の患者様にはインプラント2次オペ時に歯肉を移植します
横浜の歯医者・歯科 横浜山手デンタルクリニックの治療ステップ
横浜山手デンタルクリニックでは他院を含め以前に埋入したインプラント周囲に違和感が出始めた患者様には参考文献3、4、5を基に以下のstepを行います
Step1
- 術前レントゲン(CT)撮影とカリーナによる画像診断
- 縦切開をして歯肉を開けて(全層弁)
- ピエゾで不良肉芽をとる
- デコンタミネーション(表面の除染・除菌)をします。
- 注水下ニッケルチタンブラシで骨面から露出したインプラント表面のプラークを除菌します。そして歯周病原菌によって破壊されたインプラント周囲の歯肉(不良肉芽)や骨をNitiブラシのポケットタイプ、ナノタイプ、オメガタイプを組み合わせて除去します。
- 具体的な手法として、インプランター(コントラ)にNitiブラシをつけて600~1200回転(生食注水下)で処置します。
- インプラント表面にYAGレーザーとフォトサンを施します。

NiTiブラシを使用したデブライトメントデコンタミ処置




Step2
- エアフローグリシンとβ・TCPを吹き付ける。
- フォトサンで光殺菌テトラサイクリン・コーンの投薬をします。
Step3
- 骨補填材と自家骨(ボーンスクレッパーで採取して)を入れます。
Step4
- プラスチックプローブで3か月後、排膿がなくなる事を評価して、約5カ月後(再評価)に必要ならば歯肉移植CTGを致します。
- テトラサイクリン・コーンを入れます。(CTG時には、バイオスや自家骨は入れません。4骨壁が存在すれば大丈夫の症例となります)
Step5
- インプラントの両隣の乳頭は何年か経つと上がってきます。
以上のStepを踏むと歯と歯の間の歯肉が下がってすきっ歯になった三角形の部分(ブラックトライアングル)の改善に繋がっていきます。
<注意1>
バイオタイプ改善だけでパピラーは上がってくるというデータがあります。
<注意2>
歯根表面のパラパラは歯石でなくバイオフィルムです。
縁下歯石の除去だけでなくその下のバイオフィルムを除去することが最も肝要です。
横浜の歯医者・歯科 横浜山手デンタルクリニックのインプラント周囲炎のリカバリー治療
横浜山手デンタルクリニックでは、現在入っているインプラントを取り除いて新しくするのではなく、今あるインプラントを再生する治療を行っています。
インプラント周りの骨の再生治療
他院でインプラントを入れた後、インプラント周囲炎による病原菌によって骨が壊されてしまった患者さんです。当院にてインプラントの周りの組織の改善のためデコンタミ(再生)治療を行いました。
デコンタミ(再生)治療によるインプラント歯周組織(A→A'とB→B')へ改善。術後3か月には骨様組織と思われる再生が見られます。
病原菌によって、骨が壊されてしまっている

術前 2023/3/2
骨を再生する治療をして増骨する

術後 2024/1/26(手術日 2023/10/20)
インプラント周りの骨の再生治療
他院にてインプラント手術を受けた患者さんです。手術後少し経ってから長期間にわたって痛みが続き、2024年夏になっても痛みが治まらないため、その間に7軒の歯科医院を受診されました。
某医科大学付属病院口腔外科と某歯科大学インプラント科において、で2次元のデンタルX線写真(下図)を撮影し、診察をしてもらいましたが、”異常なし”という結果でした。しかし、痛み(赤い矢印の部分)は全く解消されず、その後当院を受診しました。

確かに2次元のデンタルX線写真では、痛みの原因を見つけることができなかったため、当院では3次元のCT画像を撮影しました。

3次元のCT画像にて確認をすると、なんと黄色の丸で囲んだ部分に大きな骨欠損が垂直的に見つかりました。それだけではなく骨の欠損は1本前のインプラント体にも向かって存在しました。(写真上で囲んだ部位の黄色の点をご覧ください。)
術 前

赤い矢印の部分の痛みを訴えられたが術前の2次元X線デンタル写真では「大きな問題となる所見はなかった」と別の7軒の歯科医師に言われた。
術 後

CT撮影後インプラントの埋入手術の部位(ポジショニング)の問題などによるインプラント周囲炎が垂直方向と水平方向に進行している。
痛みが激しかったため、患者さんの強い希望があり、当院が推奨するインプラント除去前のプログラムであるインプラント周囲炎のデコンタミ治療は受けずに、埋入していた2本のインプラントを除去しました。その後経過は良好で、何年にも続いてきた痛みは解消されてとても喜んでおられます。そして、インプラント除去後の空隙に新しい骨が再生されつつあります。